築地で「和食」 外国人向けの料理教室が人気

築地で「和食」 外国人向けの料理教室が人気

日本を訪れる外国人が増える中、2013年にユネスコ無形文化遺産に認定された「和食」を学びたいという人が増えています。東京・中央区築地で行われている、人気の料理教室を取材しました。

 築地市場から歩いて2分の場所にある料理教室「築地クッキング」は、訪日外国人向けに5年前にオープンしました。この日、料理教室に参加したのは、夏休みで来日したスウェーデン出身のパー・オルセンさん家族です。料理家のかわごえ直子さんが「みそを知っていますか。何でできているか分かりますか」と話し掛けると、オルセンさんたちは「分からない」「魚でできているのかな」などと口にしました。かわごえさんは「そう言いたいところだけれど、これは大豆です」と説明しました。オルセンさんは「去年、来日した時に、築地の魚市場に行って感動した。もう一度来ていろいろ学びたいと思った」と参加の理由を話しました。

 早速、料理を作るのかと思いきや、オルセンさんたち一行は、料理教室の外に出ました。彼らが向かったのは、築地場外市場の一角にある施設「築地魚河岸」です。ただ料理を作るだけではなく、取れたての食材を選ぶところからスタートするのです。かわごえさん、そして通訳の中村亜紀さんが「きょうは3種類のすしと天ぷらを作ります」と紹介すると、オルセンさんたちは「食べたことがない」と答えていました。そして「青森県で採れた新鮮な貝。これを自分ですしにして食べてみましょう」と、ホタテを4つ買いました。

 3人はスウェーデンではなかなか見ることができない食材に興味津々の様子です。中でも、大のマグロ好きというオルセンさんは、初めて見る「マグロの解体ショー」に驚きの表情を見せていました。水産販売店の店員から「血合いという赤黒いところに近ければ近いほど、マグロの本来の味が濃縮されている」といった説明も聞けて、生産者と直接やりとりができるのも市場ならではの醍醐味です。オルセンさんは「スウェーデンも西海岸に魚市場があるけれど、こういったのは初めて見た」と感想を話しました。

 場外市場から戻ると、買ってきたばかりの食材を使って、いよいよ料理を作ります。まずは、すし作りから始まります。握りずしではかわごえさんの「1、2で握り、裏返します」とリズムを取りながら指導する中、オルセンさんたちも始めますが、なかなか思うように握れません。スウェーデンの主食はジャガイモやパスタなどで、米を食べる習慣があまりないといい、3人は手にくっつきやすい米に苦戦していました。オルセンさんは「ご飯をあまり扱ったことがないから、ご飯が手に付いてしまう」と悪戦苦闘で、息子のルーべさんも「かなり難しかったよ」と話していました。

 それでも、すしや天ぷら、みそ汁といったメニューが、およそ1時間半をかけて完成です。自ら材料を選び、そして握ったすしに、オルセンさんも納得の味だったようです。完食した後、オルセンさんからは「和食はピザと違って胃にもたれないので、2020年東京オリンピックの時、スウェーデンの選手には和食を食べてもらい、試合に出てもらうというのはどうかな」という提案も飛び出しました。

 料金は1人当たり1万2500円で、教室によりますと、ここ2年ほどで申し込みが増えていて、毎月およそ300人が参加しているということです。料理教室「築地クッキング」を運営するシェアプロの杉林操さんは「日本食が好きで日本に来る人も多い。そういった人たちが東京に滞在している場合は、ほとんどが築地に足を運ぶ」といいます。そして「食材にこだわったレッスンがとても人気で、自国では味わえない食材や味など、本当の日本のいいところを食べてほしい」と話しています。

 魚の新鮮さやだしなどの繊細なうまみが特長の「和食」は、きょうも世界の人々を魅了し続けているようです。

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