大阪・道頓堀。行列が絶えないうどん店といえば、道頓堀今井。
名物のきつねうどん。甘~いお揚げさんと絶妙にマッチするのが…この七味。
この店で、半世紀ほど前から使われてきました。
【道頓堀今井 社長】
「七味を一振りするだけでうちのうどんがより一層おいしくなる、非常に相性がいい。あの七味にかけて相性の悪いうどんはないです。今井になくてはならない存在ですね」
まさに名脇役と、社長が太鼓判を押す逸品の七味です。
堺市中区。120年以上前からあの七味に欠かせないある素材が栽培されています。
鷹の爪。その名も「堺鷹の爪」です。堺鷹の爪は唐辛子の一種で、純粋な日本生まれの鷹の爪の品種として、いま唯一国内に残る貴重なもの。
【辻田さん】
「(摘み取って手渡す)ちょうど100年以上前からこのあたりは特に明治時代はすごい産地だった。東京ドームで18個分の産地だった。
およそ30年前から堺鷹の爪の栽培に没頭してきた辻田浩之(つじたひろゆき)さん61歳です。
【辻田さん】
「1個ずつどんどん摘み取っていかないとだめ、それがすごく手間で…」
生育状況を見て、ひとつずつ手摘みしなければならない代物。手間暇がかかるせいか、いまでは農家は大阪府内に15軒と減少。そのため、日本に流通する唐辛子の99%が外国産となってしまったのです。
江戸時代の天才医学者、平賀源内は鷹の爪について、食するにはこれを第一とすべし
=つまり、数ある唐辛子の素材の中で、鷹の爪は最高レベルと評価しています。
その鷹の爪で国内に唯一残る、堺鷹の爪は、一般的ものと比べ、辛さは、3倍でまるで果物のような香りがします。100年以上大阪で栽培されているといった基準を満たした
伝統的な野菜、「なにわの伝統野菜」のひとつとして、堺鷹の爪を登録するなど行政もバックアップしています。
【辻田さん】
「匂いも味も鷹の爪だけの香り、風味がある」
そんな堺鷹の爪…はたして、どんな味がするのか。まずは一味。一般的な食卓にある中国産のものから…続いて堺鷹の爪は?
【辻田さん】「味がすごくいい」
【アナウンサー】「味わいが加わっている」
辻田さんは、堺鷹の爪の味わいをさらに深めるため、七味を独自で調合しています。
胴でついた堺鷹の爪、石臼で挽いた山椒、さらに丹波の黒ごまや高知のゆず、四万十ののりなどを混ぜます。
さて、七味の味わいは…シンプルに醤油をかけただけのおにぎりでいただきます。
スパイスながら主役の座に躍り出ようかという味わいがあります。だから、こんなことをしても…すき焼きで頂きます
【アナウンサー】「うーん、おいしい」
【辻田さん】 「辛い?」
【アナウンサー】「辛さじゃないです。先に来るのは。香ばしさ香り高さ。ゴマもきました。順番に来ます、こんなにまろやかなんですね」
鷹の爪の澄んだ香りが他の材料をひきたてます。
堺鷹の爪の入った香辛料は、堺にある辻田さんのお店や全国の百貨店などでも販売。
固定ファンは多いそうです。いまや一人で堺鷹の爪の種を守る辻田さんですが、実は元
高校教師。転職してまで母親から受け継いだ鷹の爪の種。自分の代でつなぎ止め、子供たちへ繋ぎます。
【辻田祐吾さん】
「毎日父が唐辛子まみれで帰ってきたりしているので、いや もうかっこいいなと思ってそれはやりたいなってずっとやりたいなと思った」
息子の祐吾さん。3年前から父の指導のもと栽培に携わっています。
娘の侑加さんも七味の調合を手伝うように
【辻田侑加さん】
「私だけではなく家族も会社にもとっても大きな存在。厳しいけど根はやさしいと思う」
辻田さんは、安い海外産に勝つためには、三倍努力しなければならないと子供たちに説いています。100年以上つないだ伝統にここにきて新たな芽生えも。アメリカ国内ではすでに20店舗以上のレストランで辻田さんの香辛料が使われています。
大阪が、日本が誇る堺鷹の爪。世界にピリリとその存在感を示し始めています。
─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
やさしく・わかりやすくお伝えする「やさしいニュース」や
スポーツ、日本経済新聞社とのコラボ企画など日々、配信中!
【チャンネル登録】
https://www.youtube.com/c/tvosakanews/?sub_confirmation=1
【SNS】
▶X(Twitter) https://twitter.com/tvosaka_news
▶Facebook https://www.facebook.com/tvosaka.news.fb
▶TikTok https://www.tiktok.com/@tvonews
▶Instagram https://www.instagram.com/tvonews/