庶民的な江戸菓子 江戸東京博物館

庶民的な江戸菓子 江戸東京博物館

庶民的な江戸菓子

 和菓子は、文化文政期における食文化の発達の中で形となっていった。
 庶民的なもち菓子類(大福もち、ぼたもち等)は特に江戸で発達し、幕末期の書物には、京菓子の優位性を指摘しつつも、江戸の菓子が高価なものではなくとも美味しく、姿も風流であると記されている。

 菓子話舟橋

 菓子の製法の要点や、材料の分量などが記された製法書である。
 この本を記した船橋屋織江は、尾張徳川家の御用達となるほど、著名な菓子屋で、この店の練り羊かんは江戸の名物として評判を呼んだ。
 本書の挿絵には、様々な人たちでにぎわっている店先の様子が描かれ、船橋屋の盛況ぶりを伝えている。

 鼎左秘録

 ショウガやスイカ、ダイダイなど、野菜や果物の砂糖漬けを作る方法や、附録には練り羊かんやまんじゅう類、飴類、味噌松風などの製法を紹介している。
 また、附録の後半部分は松茸や下記の保存方法、コショウを粉にする方法など、料理に関する様々な知恵や豆知識が記されている。

 餅菓子即席手製集

 著者は、「東海道中膝栗毛」の作者で知られる十返舎一九。餅類を中心に、77項目の菓子の製法を記した。
 この場面は、本かすていらを作っている風景である。小麦粉・卵・砂糖を混ぜ、ちょうど手前にいる男性の職人が型にいれて焼いている所が描かれている。
 他にも、まんじゅうやせんべいなどのレシピが掲載されている。

 飴屋の様子

 目黒不動の名物だった、目黒飴を商う桐屋の店頭風景である。安永期(1772~80年)より有名だったようで、店の前の通りには多くの人が行き交い、旅姿の人物も目立つ。参拝の土産に買っていくのであろう。
 飴は古くから売られており、種類も多く、水飴、黒飴、粟飴、千歳飴など、江戸だけではなく各地に名物の飴があった。

 東都御菓子調進司

 評判の菓子屋を番付にしたもの。江戸のグルメガイドとして、同種のものがたびたび刊行され、多くの人に読まれた。

江戸東京野菜 レシピカテゴリの最新記事